極楽金魚/鏡のキューピッド


'99年3月26日
東京芸術劇場小ホール


[極楽金魚]

四国にある場所で伝わる病気の子に添い寝させると病気も不安をも吸いとってくれて、朝に海に流すと言う「奉公さん人形」に纏わる話し・・・
昔、おさきと言う貧しい家の娘が居た。家が貧しい為に、長者に奉公人として買い取られいった。
しかし、おさきは長者の家に大々伝えられていると言う「ちょうてんがん(表記不明)」と言う黄金の金魚を拝みたいと言う願いを持っていたので、身の不幸とは思ってませんでした。
ある日、長者の長男である太郎が重い病にかかった。しかしどんな治療を行っても回復の兆しが見えない。
長者は太郎の回復を願い、山の巫女の言うままに、病気の根元であると言う太郎に憑いたイズナを太郎から追出す為に
おさきを生け贄する事を考えた・・・(文責:だめ助)

脚本:遠藤琢朗
演出・振付:森田守恒
音楽:玉麻尚一

出演
おさき:酒匂瑠李
長者:斎藤 由香子
太郎:細木光太郎

岸田有子(客演)
伊藤有希
澤本華世子
奈良綾佳
今井沙那恵
駒谷舞
白石陽大
石井咲
鈴木絢奈


[鏡のキューピット]

葉月はイジメられっ娘でやや人生に投げやりな女の子。そんな葉月が夏休みにバイトを始めた。
しかし、弁当屋の諄と言う男の子に淡い好意を持っているのだが、バイト先でドジばかりして、
他のバイト仲間と一緒に馬鹿にされていた。
そんな自分に、葉月は自己嫌悪に陥っているのだが、唯一心の拠り所にしているのは、
鏡の中に住む百合華とい言う少女との交流であった。
そんな時、諄の唐突の愛告白で葉月はイロメキ立つ。それは千秋の陰謀だったが・・・(文責:だめ助)

脚本・演出:犬石隆
振付:小川こういち・森田守恒
音楽:玉麻尚一

出演
葉月:小山菜穂
百合華:加藤裕月

諄:江口舞
千秋:山田有紀子
真菜美:古賀久美子
近藤久美絵
亜矢:山本夏海
渡辺早智子
山城結布
金子麻里
鈴木麻美子


ミクロコスモスも旗揚げから約2年が経ちますね。うーん時の流れが速すぎます。

昨年夏休み公演の再演である「極楽金魚」は、変更点は余り無いのですが、
昨年夏に外部で活躍した今井沙那恵・石井咲・細木光太郎が戻ってきて、配役に厚みが出てきました。
3人とも成長が目に見えていますし、数年後は劇団の看板を背負って行くでしょう。
あと、アンサンブルで大活躍の伊藤有希は、もっと評価されても良い子だと思います。
南少で言えば、田嶋亜弥子か池田淑子のポジションですが、伊藤有希の方が芝居が出来るので、今後も伸びるはずです。
作品的に「完成度」は夏よりは全然良いのですが、なんかオドロオドロしさとか恐怖感が感じられなかったのは箱のせいでしょうか?


この作品も再演である「鏡のキューピッド」は、説明不足と言えた初演とくらべ、噛み砕けて居て、
分かりやすい作品に生まれ変わりました。
ミュージカルナンバーも、新しい曲が加わったりアレンジを変えたりして、新作って言っても良いぐらいです。
ミュージカルナンバーの「はじめて!」や新曲である「Summer Holiday」の華やさは「少女ミュージカル」の王道って感じです。
かなりの人物設定の変更点が有るのですが、基本的には前回のテーマを踏襲しております。
百合華は、葉月が作り出した自分の理想像である空想の人物なのであるが、
諄に裏切られたことで、人間的に成長した葉月には、百合華と言う理想像の玩具は、必要無くなったのですよね。
私も含めて、「自分の理想像」と言うのを持ち続ける物では有るけど、それに近づく為の「一歩」を踏出すのが
なんと難しくて勇気の要るものか、この作品を見て自分を葉月にオーバーラップさせて考え込んでしまった。

主演の小山菜穂については、最近の彼女を観て、台詞を良く噛むし、歌唱時に声が裏返る等が多く
「子役」から脱却できず、このまま埋もれてしまうと思っていたのです。
しかし、今回は一皮向けた彼女を観れたのが嬉しかったな。葉月を自分の物に出来ていたと思います。
加藤裕月は、百合華役はハマリ役って感じですね。何気に見せるあの悲しげな雰囲気はゾクっときます。
爆弾娘とも言える亜矢役の山本夏海は、ミクロコスモスの芸風には異質過ぎるほどの元気なキャラクターです。
めちゃくちゃ子役的な芸達者なので、今後は使いどころが難しいかも知れませんが、役がはまったら原爆級な子です。
それにしては、山城結布の軽快さは、二の線も三の線も出来そうで、良い脇固め役になりそう。もちろんメインも出来ますね。

メインの団員以外は、鉄のカーテンを引かれた顔の無い南青山少女歌劇団と違って、
顔の見れるミクロコスモスは面白い劇団である事は、現時点では言えると思います。
しかし、発表会の延長上でしかない現状は残念です。もう少しイロイロな人に観てもらいたいと思います。


文中にて<敬称省略>をさせて頂きました。